「レンアイかたぱると」
ご無沙汰していました。ひさびさのアップです。
銀/魂DVD其の4の1、入手したんですよ。もちろん、生産限定版・・・
おまけCDのあの!!あの新八君にやられてはじめて予約なんかしちゃったんですがっ!!!
いや~、はずかしいはずかしい。初め直視できなかったからね///
落ち着いたら、じっっっっっくりとみたいと思います。
それはさて置き、久々の駄文の内容はといいますと、
”原作世界・サナトリウムパロ”
・・・とでもいいましょうか。とにかく、長編になる予定です。
パロはちょっと、というかたは回れ右でおねがいしますね。
レ ン ア イ かたぱると
そよそよと風が吹けば、木漏れ日が揺れて頬をくすぐる。
外界の熱が殆ど届かず、音はといえば葉の擦れる音とすずめの鳴き声。
読んでいた本から目をあげる。もう随分と同じ体勢で居たらしく首がぎしぎしと痛むが、その音さえも他の人に聞こえてしまうかもなんて、ファンタジーなことを考えてみる。
「オイ、新八。ナニ一人でニヤニヤしてんだ。あれか?思春期か?」
何か聞こえたか?いや、気のせいだろう。
「コラ、ムシしてんな」
木漏れ日を背に自分の座るロッキングチェアの脇に立った人物を見上げる。
日に透ける銀髪。同じく色素の薄い瞳と、意外とつやのあるこれまた色素の薄い皮膚。
そんなのが白衣を着ているもんだから、
「・・・先生、眩しい」
「まず、ごめんなさいだろが」
オラオラとかいいながら僕の特等席に割り込んできた。痛い、というか、
「先生、ジャマです」
「・・・お前ね、昼寝ぐらいさせなさいよ」
さっきまで職員詰め所でソファに陣取り寝ていたはずだが、よく言うもんだ。
しかし、それには言い返さずに好きにさせておくことにした。
そういえば、僕はそれどころではなかったのだ。
「お前さぁ。暇じゃねェ?本ばっかりでよく飽きねェな?」
ちらりと視線を向けると、やる気の無い死んだ双眸は自分を捕らえていた。
はぁ、と溜息一つ。
「暇じゃありません。これを読まないと僕は明日も危ないんですよ。だから、邪魔しないでください」
そういってやると、相手の眉間に僅かに力が入ったのがわかった。
しまった。
「これの感想文を手紙と一緒に姉上に送らないと、様子を見に来るって騒ぐのを止めなくちゃいけなくなるんです」
姉をご存知ですよねと付け足せば、その顔は見る見る青ざめていった。
やはり、初対面での印象は、他の人たち同様、この死んだような人物にも有効だったらしい。
僕がこの病院へ来たのは今年の春。実家の近所の桜が満開で見送ってくれたのを憶えている。
天人の介入を受け入れて100年余り。以前は攘夷志士なる地球上最後の武士たちが繰り返していたというテロ活動も今は収まり、世間では天人様々の好景気と文明の飛躍的な進歩を享受していた。
地上を転がる乗り物は消え、多くが空中を飛行する。電線は姿を消し、他のライフラインもろとも地中深く埋められ、町には地球外原産の色とりどりの植物が植えられ大切に育てられていた。
しかし、どれほど文明が進歩しようとも、恐ろしいものはなくならぬもので。
快適さの代償として地球は、宇宙病を受け入れることとなった。
宇宙病。それは地球外から持ち込まれた何らかの物質が原因で罹患し一般の病院では治療が困難な疾病。もしくは、新八のように、原因不明でその治療法が不明なもののことを言った。
新八の場合、肺にきて、要因も分からぬままそれはだんだんにしぼみ続けていた。
そういった患者を世間から離し、治療法を探す目的で作られたのがこの病院だった。
いってしまえばサナトリウム。森の奥にある静謐な隠れ家。平穏と希望を内包した非日常は患者たちを迎え入れて、もしかしたらその先にあるかもしれない悲劇を巧く包み隠してくれているようだった。
そんな中に襲撃、いや、訪問してきた志村姉弟は著しく異質だった。
医者の胸元を両手で掴み上げ、治療法見つけられなかったら只じゃ置かねぇぞ、と激励の言葉を投げかけただけでなく、見つけ出せなかった場合その哀れな医者の家族が待つ家の住所を教えるという約束まで取り交わしてしまったのは機知に富んでいるとしか言いようが無い。
というわけで、それから半年、毎週のように様子を見に来るといって訊かない姉を安心させるため、新八は手紙を書き続けた。自分は元気でやっていると。姉上こそ体の方は大丈夫かと。近藤さんとは巧くいっているのか、もし嫌な事があればすぐに別れてくれて構わない、とか。
当の本人も嬉し恥ずかしの超絶ブラコン、妙の襲撃を防ぐ予防線がそれ。
銀時が言うところの暇な読書。
一見のどかで、ついちょっかいを出したくなる光景にも重大なレゾンデートルが隠れている。
銀時のいつになく真剣な表情にはそんな発見を喜ぶ輝きがあったとか、無かったとか。
2009/10/30
静謐とは無縁と思われたこの二人を静謐の中に置くとどうなるのか。
気になったので、連作決定。
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