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「アナタを讃える日」 銀誕記念・銀新

「間に、合わなかっ、た・・・ぐふぅ・・・ッ!!」   (ドサッ)



テーマが決まってからが思いのほか難産で、気付いたら日付変わってました・・・
うぅ、失態。神誕でリベンジしたいと思います。


ちなみに、続きを開く前に、以下の事注意です。

注意: ・ 誕生日記念だって言うのに仄かに薄暗い雰囲気です。少なくともアマアマではない。
       ・ 新八の過去捏造
  ・ R-12(?)

以上が大丈夫だという方、よろしければどうぞ。
 
 今年もまた誕生日が来る。アイツらに出会ってから4度目の、その日が来る。
 
 
   アナタ を える
 
 
 
「銀さんちょっと、どこいくんですか?」
 
 掃除機をかけながら居間へ入ったクセに新八は、コソコソと出かけようとした俺の気配を察知して慌ててかけてきた。
 
「んだよ。ちょっと出てくるだけだって」
「ちょっとってどこへいくんですか?今日じゃなきゃいけないんですか」
「ちょっとはちょっとだよ。すぐ帰るって」
 
 特に行き先は決めていなかった。それでも俺は、渋い顔の新八を置いて家を出た。
 玄関を閉める寸前、どうなっても知りませんからなんて、洒落にならない脅し文句が追いかける。
(ちゃんとわかってんよ、俺だって)
 
 
 万事屋では4年前から、誕生日をすっぽかすイコール、死を意味することになっている。
 まったく、ありがたいことに。
 
 出会った最初の年はとにかくいろいろあって、元々騒々しい俺の周りにさらにコブが二つついたんだ、誕生日なんぞフツーに忘れてた。
 だが俺と新八、少なくとも男二人にとってなんでもないこのことは、神楽にしてみたらそうではなかったのだ。
 9月に入ってから新八の誕生日を知った神楽は激昂した。
 激昂して、遠慮のない平手打ちを新八にお見舞いし床に沈んだのを冷たい眼で見下ろすと、青くなりながらその一部始終を見ていた俺の誕生日を尋ねたのだった。
 みそ汁が湯気を上げ、すずめの鳴き声が聞こえる朝の万事屋は、どこのホラー映画ってくらい気温が下がっていたという。
 
 
 と、いうわけでその年、一名の犠牲者を出して新たな「坂田家家訓」が制定された。
 すなわち、「さびれた工場っていうのはなァ、従業員みんなの誕生日祝うもんだよ。そうやっていい製品生み出していくんだよ。それなのに言うの忘れてましただァ!?工場長の顔に泥塗るつもりかコルァ?」である。
 
 
 そうして律儀にも、新八の誕生日も俺と一緒の日にパーチーで祝ってやってからこっち、誕生会というのは毎年かかせない行事となった。
 もちろん誕生日だからといっていきなり生活が潤うわけではない。
 新八が切り詰めて切り詰めて、俺達にも節約の御触れを出すことでやっと成立する程度のものだ。
 毎年の語り草になる新八の失態、去年は酔った俺が脱ぎだそうとして大変だったとか、もっと糖を控えろだとか。代わり映えしないスナックで、変わらない喧騒。
 
 
 ただ4年前から、無粋に変わってしまったものがあるとすれば、ソレは紛れもない、俺自身だけだろう。
 それが2年目から毎年、俺を憂鬱にさせるのだった。
 
 
 どこに当てがあるわけじゃない。いや、当てはあるが先立つものが皆無の俺は、日も暮れ始める夕方6時。家路を急ぐガキどもよろしく家へと戻った。
 戻ったら案の定、新八には呆れたような白い眼で見られ、お使いに出ていた神楽には勝手にいなくなった制裁を受けた。
 
 そうして、いつもどおり、代わり映えのしないメンバーを集めた一階の寂れたスナックで、俺の誕生日パーティーが幕を開けた。
 
 
 
 
「うぅ~ん・・・」
「ちょっと銀さん。ちゃんと歩いてくださいよ」
「うぅーーー」
 
 飲みすぎた。毎度のことだが言わせてもらおう。俺もう酒止めるわ。
 
「何云ってんですか、このマダオが」
 
 どうやら口に出していたらしい。わざわざ酔っ払いの戯言にも反応してしまうなんて、いやいや、こうやって日々ツッコミを鍛えているんだな。ふむふむ。
 
「っうあ・・・ッ」
 
 感心したのもつかの間、小さな悲鳴と共に二人の身体は床に倒れこんだ。
 体の下敷きになった新八は俺をここまで運んでもう限界のようだった。
 
「おら~新八くぅん。もう少しだぞ~、頑張れぇ」
「んっとに、このっ、ダメ侍がッ・・・!」
 
 聞き捨てならないことを云われた気もするが、俺のすぐ目の前で、顔を真っ赤にさせて踏ん張る新八という絵面はなかなか悪くない。
 否。 全然、悪くない。
 
「ちょっと銀さんッ・・・重いってば!」
 
 そりゃあそうだろうね。体重かけてるもん。
 
 
「ッ・・・銀さんッ!?」
 
 新八の腕を取って仰向けにしてやると、新八は息を呑んだように俺の名を呼んだ。
 
「・・・なぁに?新ちゃん」
「アンタ、なにして・・・」
「新ちゃんに馬乗りになってる」
「いや、ソレはみれば分かりますよ・・・つぅか、意味わかんない、この酔っ払い」
 
 そういうと新八は上気した顔を隠すように腕で顔を隠した。俺に見られたくなかったんだろうけど、俺はばっちり見てしまったし、美味しそうだと思ったわけで。
 言っておくが決して、酔いのせいではない。俺の悩みのもと。いっそ酔いの所為だったらよかったのに。
 いろいろ言い訳するのも疲れたから、俺は決心した。
 
「なぁ、しんぱち、俺さァ。自分の誕生日キライなんだわ」
 
 
 見えない頬から顎のラインを撫で撫で意味のあることを云ってやると、腕の下から大きな目が覗いた。
 
「そんな、なんで・・・」
「いやいやいや、俺の過去に云々じゃねェのよ。・・・だからそんな心配そうな顔すんなって。俺がイヤなのはなぁ。ホントに欲しいもの欲しいって、云えねェからなんだよ。――・・・ホンット、毎年毎年我慢してよォ、」
 
 
 
 苦しい、苦しい。逃げたい、逃げ出したい、・・・・・・でも、どこへ?
 どこでもない。 ここへ、だ。
 
 
「銀さん破裂しちまいそうだわ」
 
 
 作為をもって首から鎖骨を撫でる手つきと、視線から何か感じ取ったのか。新八が小さく息を呑んだ。
 ソレを見て俺は早くも後悔する。
(でも、それでも・・・)
 やっちまったもんは仕方ないと自身を鼓舞した。
 と、新八が俺の手をとった。
 
「・・・いいですよ。あげます」
「・・・・・・え?」
「ちょうど神楽ちゃん、姉上について僕の家に行っちゃいましたし、ほとんど片付けは済んでますし、」
「ちょっ、しんぱ・・・」
「いいですよ、銀さん」
 
 俺がマヌケに手を握られたまま動けないでいると、それを誤解した新八が申し訳なさそうに言った。
「・・・それとも、そういう意味じゃありませんでした?僕の早とちりですか?」
 そういって離れていく手を今度は銀時が素早く捕った。
 
「早とちりじゃ、ねェよ・・・・・・」
「そうですか。じゃあ、先にお風呂済ませてください。その間に片付け終わらせるんで」
 
 そういって新八は台所にひっこんだ。
 そうして、言われたとおり先に風呂を済まし、新八がフロを終えるのを大人しく待っている内に銀時は不安になってきた。
 ひょっとして、新八はコレ一回きり、それで俺の気が済むと思ってるんじゃないだろうか。とか、
 もしくは、心の伴わない身体だけの行為だとでも・・・なんて。
 そうだとしたら最悪だ。新八がそれを受け入れてしまったのも、自分をそういう事ができる人間だと思われていることも。
 
「うがぁぁぁぁーーーーーーーー!!」
 
 待ちに待った夜だというのに、銀時は一人、布団の上で頭を抱えるしかなかった。
 
 
 
 
 ぶっちゃけ、新八のことは今でも冴えないメガネだと思っているし、俺は断じて男色家ではない。
 そりゃァ戦時中は、仲間にケツ借りることもあったけども、け・ど・も・だ!!
 心底惚れちまうなんて・・・しかも年下のダメガネ。
 
「・・・銀さん?お待たせしました・・・」
 
 しかし、身体は正直だ。
(うわわわわわ、来たよ、すんげェのがきたよ)
 日頃見慣れているとはいえ、湯上りの新八はハンパない。
 何がって、その上気した肌の色から頬を伝う雫、沸き立つような匂いまで。
 
(マジヤバい・・・)
 
 自分の手でもっとかぐわしくして、啼かせて、・・・泣かせて、俺のコト意外見えないようにしてやりたい・・・―-
 
 突き上げるような欲望は理性に覆いをかけて、知らず、銀時の胸の鼓動を跳ね上げさせるようだった。
 
 
 
(あぁ、こうなりゃ腹くくるしかない。元々欲望に対する堪え性はなかったじゃねェか。むしろおせおせのオフェンス一本が俺の長所だ。そうだろ、誰かそうだといってぇ!!!)
 
 でもその前に、言うことは言っておきたかった。最低ヤロウだと思われたまま体重ねんのはさすがにイヤだ。
(うん。そうなれば、いわゆる告白というヤツでもってまず新八をメロメロにしてだな・・・)
 
 しかし、そうして一人悶々と悩む銀時は、傍から見るとかなり異常だったようで。
「・・・何一人でモゾモゾしてるんですか?」
「・・・うっせぇ。・・・あのな、新八・・・」
「銀さん!」
「は、はい!」
 きちんと惚れてるって知って欲しくて、勇気を振り絞ったのに、存外強い声に阻まれる。
 そうして新八は正座した俺の膝の上に・・・
 
「ちょ、ちょ、ちょっと待て!新八」
「銀さん、誕生日、おめでとうございます」
 膝に乗り上げた新八の手のひらは、心地いい熱を伝えてくる。
「・・・あぁ、あんがとさん」
 至近距離で覗くことになったメガネなしの双眸は、風呂上りだからってだけじゃない熱も湛えていて。
 俺達はごくごく自然に唇を重ねた。
 
 
 
 
 まだ息の荒い新八の頬を撫でると、苦しそうだがふわりと微笑んで見せた。
 大丈夫だといいたいんだろうか。
 ゆるゆると撫でれば、満足げに眼を閉じたが、俺の胸のモヤモヤは増すばかりで堪らず口を開いてしまった。
 
「・・・なぁ、新八」
「はい」
「オマエ、初めてじゃ、ねェよな?」
「・・・はい」
 
 ・・・やっぱり。
 キスの前から抱いていた違和感が、秘所に指を埋めた時点で確信になって。
 その次は困惑。最後が怒りだった。
 元来ダメダメメガネの新八が,あんなこといって迫ってくるって事がそもそも異常だったのだ。
 コイツは、前々からタイミングを見計らっていたんだ。
 俺に好きだ、と伝える以前に、いつ自分が既に開かれた身体だということを知らせようかと。
 悪く言えば、・・・穢された後だと。
 
 抱く前とは違う息苦しさに胸が詰まる。
 
「オマエのことだから、姉ちゃん守るためだったんだよな?仕方なかったんだろ?」
 
 幾分かの確信と、僅かな懇願をのせて言うと、新八は声もなく頷く。
 その頬にはいつから堪えていたのか、涙が伝っていた。
 
「ごめんなさい銀さん・・・ごめんなさい・・・」
 
 
 嗚咽の合間に謝られても、俺はオマエに対してなど怒ってないと言うのに。
 初めてはアナタがよかった、とか、こんな僕ですみません、とか、気持ちは嬉しいけど、新ちゃん・・・――
 
「ねぇ、誰にいわれてヤッたの?」
 俺が知りたいのはソコ。今や俺の心を支配しているのはそのクズの汚いケツに木刀ブッさして、その頭をかち割りたいという欲求だけだった。
 なんならドS王子にお願いして、とっておきのおしおき術を学んでもいい。
 
「ねェ?新ちゃん」
 
 優しく問いただしても、俺の思いとは裏腹に、新八はただただ涙を流して首を横に振るだけだった。
 柔らかい上質の黒髪がいくら俺の胸をくすぐろうとも、俺の怒りを鎮めることは終になかった。
 
 
 
 
 銀時の誕生日からしばらくして、新八の遠い親戚に当たる近所でも評判の好々爺が、家族に何も告げず、忽然と姿を消したと言う。





意味分からない上に暗い・・・

捕捉させてもらいますと、最後、居なくなっちゃったって云うおじいさんは死んでません。
銀さんに見つかって、おしおきされて、恐怖の余り江戸から逃げ出したんです。
分かり辛くてスミマセン。

私の中で新ちゃんは幼い頃に少なからず体売ったことがあるってことになってます。
幼い姉弟二人、いくら頼れる姉がいようとも、人知れず新ちゃんも姉上を護るために無茶なことをしてきたんじゃないかと・・・
そして銀さんはそういうことにめっちゃ怒りそう。
んで、江戸中聞き込みして(新八に気付かれないように)、ぜひとも、悪漢を追い詰めてもらいたかったんです。

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