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「レンアイ かたぱると3」

またしてもひっっさびさのアップとあいなりました・・・
皆様いかがお過ごしでしょうか。

私のいるところでは雪がそりゃぁもぅこれでもかと降ってまいりまして、
通勤がダルいだる(ry

しんどいです。


なんでも日照時間が短くなると”冬ウツ”なる病にかかる危険性がでてくるそうで。
太陽って大事なんだなぁと改めて感じました。しみじみ・・・


そんなウツっ気を吹き飛ばし、・・・たりはしませんが、じりじり両片恋銀新。
よろしければつづきより読んでやってください。
レ ン ア イ  かたぱると  3
 
 
 
大口を開けて寝ていた。
自覚はあった。
 
だって仕方ないじゃん。ソファに座ってくつろいでたらその膝の上に頭のっけて気持ちよさそうに寝だした人がいたんだモン。男がモンとか言わないって謂われたって。
 
「だから、ニヤニヤすんの止めてくださいって」
「だってぇ~、仕方なくね?」
「・・・もうほんと、止めてくださいよ、ウザいから。――・・・は?ってアンタ写メ撮ったんスか?人が寝てるとこ!?」
「いや、ソノ引くわーって顔やめてくんない?つぅか、ウザいってなによ」
「・・・引くわ――」
「だぁらッ!止めろって!!新八の分際で!!」
 
いい加減相手するのに疲れてきて、というか、こうして喋りながらも膝の上キープしつつけるずうずうしさに感嘆すら覚えてきてしまって。
 
そして、この空気が心地好くて、窓から真直ぐに指す光が銀髪に吸い込まれていく様を至近距離で感じられることが嬉しくて。普段、意識的に距離を開けている分この不意打ちがありがたくて。
 
 
 
そんな風に感じる自分が改めてどうしようもなく嫌いになった。
 
 
 
 
 
「ホラ、そろそろ仕事に戻らないとヤバいんじゃないですか?」
 
ぐいっと膝を持ち上げると「ひぐぅ」なんて、アホみたいな声が聞こえて面白かったから、調子に乗って続けざまに上げ下げしてみる。
 
「ちょ、マジ・・・、やめろ」
 
そういって僕の膝から逃げた体温は、振り向きもせずに僕の心を抉る。
 
(僕が悪いように言うけど、僕を調子に乗せたのは・・・)
 
 
「あぁーどうしてくれんの。なんか気持ち悪いんですけど」
そういって親父臭く肩を回す。
 
「お子ちゃまの機嫌損ねちまったし、ぼちぼち行くとするかぁ」
そういって機嫌を損ねたお子様は一人残して。
 
「そーいや、今日神楽が待ってんだったわ」
 
僕を寂しくさせるのは、いつだってアンタらなんだ。
 
 
いつも僕の視界に入ってきては奇怪な理由でまとわりつくこの駄目医者はこれでも医者だ。
こんな、未知の病を相手にする病院にいるくらいだからそれなりなハズなんだろうけど、僕にとってはどうでもいいことだと結論付けたのは、この病院に来てから1時間も経っていなかったように思う。
僕がこの病院に来た日に行われた姉の襲撃、もとい、挨拶を僕意外の人達が遠巻きに観察している中、ふいに近くに立ったのが坂田先生と神楽ちゃんだった。
 
 
 
「おい、アレ。お前のねぇチャンか?おっかねェな」
「はぁ・・・」
「でもなんかカッコイイアル!そこら辺の女じゃない気がするネ」
「そりゃ見れば分かるっつぅの。どう見てもゴリラに育てられてんだろ、ありゃ。そうだろ?新一君?」
「・・・新八です。姉上に対して失礼なこと言わないでください。武士の子として、少し丈夫に出来てるだけです」
「少しってオマエ、既に災害と化してるからね?おまえのねぇチャン」
「そうアル、猛烈に強いラブハリケーンヨ」
「中心部の最大風速はぁ、ってか。いや、ラブいらねェから」
「・・・分かりましたよ。止めればいいんでしょ」
二人とも軽口叩きながら真っ青になっているのが丸分かりだ。
「分かってんなら早くしろよ。あそこで今絞められてるヤツになんかあったら今日の夜勤代わってもらえそうなのいなくなんだよ」
 
 
なんとも手前勝手な言い分だと思ったけど、件の医者の顔が青白くなっているのを認め、新八は結局慌てて姉の手を苦心して解かせることとなったのだった。
 
 
 
ここで、神楽ちゃんのことを少し。
 
この病院には不釣合いのテンションでいつも坂田先生と一緒にいる彼女は天人で、しかも宇宙にその名をとどろかす夜兎という種族らしくて、ともかくめっぽう頑丈だ。
骨折程度なら1日もあれば直ってしまうというし、かかる病気なら治る、とは神楽ちゃんの言葉で、僕は驚愕の余り暫し絶句してしまった。
そこで、彼女はこの病院でいわゆる“モルモット”をかってでている。
ヒトに似た身体構造を持つがゆえにヒトの不治の病の治療薬開発に向いているのだそうだ。
 
これを訊いたときはさすがに気持ちが悪くなった。けれども、僕がなぜ神楽ちゃんがこの病院にいるのか訪ねた坂田先生は至って淡々と教えてくれたし、それを先生の背中にぶら下がりながら聞いていた神楽ちゃんは誇らしげな顔をしていて。僕一人が子供だった。
 
いつか、神楽ちゃんも勝てない病気が出てきてしまうかもしれないと、後で言って聞かせようとしたけど彼女は聞く耳を持ってくれなかった。それどころか自分のことだけ心配していろと釘を刺されてしまった。
 
 
 
昔からいつだって、僕ひとりが物分りの悪い駄々っ子だった。
 
 
 
 
「ちょっと、行かないでくださいよ」
 
 
 
今にも病室の扉を開けて出て行こうとする背中に声をかけた。
僕ら二人しか居ない個室に、声はよく響いた。
 
先生は返事はせずになによ、とその表情で聞いていた。
 
心なしかその顔が期待に輝いているようで僕は思わず笑ってしまった。
 
「ほっぺた。アホみたいな形ついてますよ」
 
自分のほほを指しながら言ってやると「うそッ!」なんていって慌てだした。
その頬には僕のジーンズの皺が克明に刻まれている。神楽ちゃんに見つかれば大目玉だ。
彼女は3人一緒が好き。僕も好き。・・・この人は知らない。
でもきっと、僕が一番好き。この3人でいる時間が。
 
一緒に笑って、一緒に怒って。食べて寝て歌って。
 
どうか神様。出来ることならずっと、この人たちが、この時間を失う事がありませんように。
 
 
 
そう祈って、また少し自分を嫌った。


2009/12/18
この世界における三人の出会い。
たとえ悲愴を含んでも、その輝きは偽者ではない。

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