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「住処」

アニメ銀/魂、猫王編最終話みました。
私の住む地域ではアニメの放送が4週間ほど(?)遅いのですが、
・・・まぁ、いいです。いまはそれどころじゃないので。

お登勢さんがなんかいいこといってたッ!
コミックで一回読んだけども、もうほとんど憶えてないけども、でもなんかジーンときた!
(以下若干ネタばれです。)




『家族』とまでは言ってなかった気がするんですけど、万事屋の三人をみてると嬉しくなるって。
失うことを恐がってたヤツがまた仲間を手に入れたんだね的なことをね、いってらしたんですよ。

あぁああぁ――――!!!!!!もうっ!!!!
そんなん言われたら泣 く わ!
朝から切ないんじゃボケ――ッッ!!お登勢さん好きだァァァ―――!!!(本能の赴くままに)



・・・はい、という言うわけで、衝動的に仕上げました万事屋ss。
相変わらず拙い薄い内容ですがよろしかったら続きからどうぞ。






住 処
 
 
 
 ドン、という音で目が覚めた。
 
 
 
 眠気に逆らってうっすらと目を開ければ、ネオンを吸収してぼんやりと輝く障子が見えた。
(あぁ、ここは万事屋か)
 最近はめっきり起床と同時に行われるこの確認が習慣になりつつあった。その答えは二択で、いずれにしろその次には、冷蔵庫の中身のイメージ化と朝食メニューの構築が続くのだが、今はどう見ても起き出すような時間じゃなかった。
 
 腹に響くような衝撃をともなったその音に、久しぶりに入った仕事の疲れで深く眠りに入っていた意識が浮上した、・・・気がしたのだが、しかし新八の認識を他所に、万事屋の和室はシン、としており自分を起こしたはずの衝撃につづく物音はしなかった。
 そのまま寝る気にならず布団の上に身体を起こす。
 実家であれば罠にかかったストーカーの心配をする必要があるが。
 
(なんだろう・・・?)
 
 しばらくそのままぼぅっとしている。と、
 実は存外近くであった音の正体が知れた。
 
 
 
    ド ン ・・・ ド ン ・・・
 
 
 その音は、高々と振り上げられた足が、
 幾分の加速度をもって、
 布団の上へと振り下ろされることで鳴っていた。
 
「・・・ぅ、・・・ぅぅ・・・」
 
    ド ン ・・・
 
 
 
 
「銀さんッ!」
 
 
 
 胸を掻き毟り、脂汗を浮かべながら、苦悶の表情でその人は、寝ていた。
 ぜいぜいと浅い呼吸は苦しそうで、真冬だというのに髪が汗で額に張り付いている。
 
「銀さん!」
 
 
 新八はただ寄り添うだけは耐えられなくて、慌てて苦しみにゆがめられた生白い手を取った。
 
「銀さん、銀さん、」
 
 驚愕と哀願とを滲ませながら阿呆のように名を呼び続けると、ようやっと銀時の意識が戻ってきたようだ。その唇が音を乗せようと震えながら形を作る。
 
「あ、・・・い、きが・・・―――」
「なんです銀さん」
「息が、でき、ない――・・・新八・・・」
「はい!銀さん!新八はここにいますッ!」
 
 
(だから、早く、戻ってきて)
 
 
 
 懸命な呼びかけも空しく、助けを求める視線が自分を素通りして天井に向けられたことで、新八の胸の痛みは限界に達した。
 
 上体を倒していまだに呼吸に苦しそうな銀時の口を口で塞ぐ。
 つかの間、邪魔者から逃げるように顔を背けられた。
 しかし、しつこくそれを追ってやる。
 すると、いつしか抵抗は止み、自分の胸元を握り締めていたはずの手は新八の寝巻きをこれでもかというくらい強く握っていた。
 その手は縋っているというよりは逃がすものかという意思が篭っている様で、新八は心底安堵した。
 
 そうして互いの息が同じくらい、熱く、上がるようになってから、銀時はようやく新八を解放した。
 名残惜しそうに新八の唇を指でなぞる銀時の目には、いつもの濁った輝きが戻ってきていた。
 
 
「・・・新八」
「・・・はい」
「ゴチ」
 銀時は軽薄に見える笑みをうかべ、今更ながら恥ずかしくて俯いてしまった新八を窺い見る。
「・・・高いですよ」
「ケチ臭ェこというなよ~」
 
 
 そういって頬をやわくつねられる。
 そんな事が嬉しくて。嬉しくて新八は泣けてきた。
 
 
「・・・男がんなボロボロ泣くなよ」
「ウルサイ。一人で勝手に溺れそうになってる人に言われたくないです」
「・・・それもそーだな」
「そうですよ・・・・・・銀さん」
「んあ?」
「・・・おかえりなさい」
「・・・おう。ただいま」
 
 
 といっても男としてしょっちゅうボロボロ泣いているのはどうかと思うのだ、実際のところ。
 恥ずかしくてそのまま目の前の胸に倒れこんでみると、当然のように背中に太い腕が回った。
(あぁ、嬉しいなぁコンチクショー)
 本当に、本当に情けないことに僕の精神はこの人や神楽ちゃんのためには参ってしまって。
 どこの年寄りだってくらいバラッボロ泣けてくる。
 
(知らない所で一人でアンタら思って泣いてるなんて知ったら、さすがのこの人でも引くよな)
 
 3人揃って大笑いした日でも、甘味を取り上げられて銀さんの機嫌が一日中悪かった日でも、真選組とドンパチやってくたくたに疲れた日でも。嬉しさのあとに悲しさが、微笑ましさのあとに寂しさが隙をつくようにやってきて、せっかく整理されて見た目も良くなった気がした僕の心を掻き乱して、ずたずたにしていく。
 悲観的になる事をやめない自分の思考回路と、なんでもない顔で日々飄々としている二人に嫌気が差して。
 捨てることも、その全てを抱きしめることも出来ないもどかしさに胸がつぶれて。
 一晩苦しんで拗ねて、それでも、翌日には二人に対する愛情しか残っていない。
 親愛と、情愛と、思慕と執心と。さっぱりと阿呆みたいに再生している僕の心。
 
 詰まる所、飄々としながらも己の内の夜叉に抗い続けるこの人の、苦悩さえも愛しくて。
 絶大な力を誇りながら決しておごらず、魂を磨き続ける彼女が誇らしくて。
 一度気付いてしまったこの人たちの輝きから目を背ける事など僕には出来はしないんだ。
 見守り続ける。こうしてアンタたちが僕を欠片でも必要としてくれるならば。
 僕はいつまでだって。
 
 
 僕の一等好きな、照れたようなハニカミ笑いを浮かべてうりうりとほっぺを押し付けてくる銀さんを、めいっぱいの気持ちを込めて抱き返す。
 
(だいすきだいすきだいすき!何度だってきっとアンタを救い出すから、ずっとずっと傍にいてください!)
 
 僕らは自分を見失って不安に泣く必要はない。
 だって互いが互いの住処なんだから。
 

お登勢さんが欠片もでてきませんでしたね・・・
パトスだけありがたく頂戴しました。

新八に「ここにいます」的なことを言って欲しくて書き始めたのですが達成できて満足です。
ちなみに神楽ちゃんもいませんでしたが、『万事屋』カテゴリだと言い張らせていただきます。

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